平成28年2月3日
第2回フィリピンセミナーを開催いたしました
<平成28年2月3日第2回フィリピンセミナーを開催いたしました>

16年2月第二回日比港湾セミナーを実施しました

―JICA港湾研修生の同窓会と港湾防災セミナーの開催―

 

 JOPCAでは2010年度から東南アジア各国に出向き、その国からJICA研修生として来日して港湾を学んだ方々とわが国の港湾関係者・JOPCA会員との絆を再確認し、さらに発展させることを目指して、研修生同窓会を設立し、その維持活性化に努めております。その一環として各国において港湾セミナーを開催し、相互理解の増進の一助としてきました。まず2010年度にはフィリピン、その後インドネシア、ヴェトナム、ミャンマー、カンボディアと毎年開催を重ねてきましたが、2015年度は2月はじめに再びフィリピンを訪れ、第二回目の日比港湾セミナーを実施しました。

1.開催準備

 これまでの各国における同窓会設立・港湾セミナーの開催に当たっては、その国に派遣されているJICA港湾専門家を中心に開催準備を整えていただいていましたが、今回はたまたま専門家がいない状況の中で準備を進めました。大使館の平澤書記官、JICA事務所、JOPCA会員企業である東洋建設の現地事務所等に応援をお願いしながら開催にこぎつけました。今回はフィリピンにおける第二回目の開催となりましたが、5年前に設立した同窓会の継続維持のための新会長の選任が必要でありました。また、港湾セミナーのテーマを、この間に日比両国を襲った過酷な自然災害を踏まえて、「港湾防災」とすることとしました。

Seminar Program(2P物) (Feb.3,2016)(160127).pdf

 2.港湾防災セミナー開催

 セミナーは2016年2月3日、09:00~16:30にマニラのダイアモンドホテルにおいて開催されました。主催者は国土交通省、JOPCA、比運輸通信省、PPA(比港湾庁)の4者となりました。比側からは、主催の運輸通信省、PPAをはじめとして、公共事業道路省、セブ港湾庁、スービック湾開発公社などから港湾担当者が多数参加し、民間のポートオペレータの参加もありました。日本側からは現地の大使館、JICA事務所、会員企業に加えて日本各地からJOPCA会員が参加のため参集しました。参加者数はフィリピン側94名、日本側34名合計128名となりました。

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なおこのセミナー開催は、おおいに現地マスコミの関心を引き、マニラのテレビ局が4社取材に訪れ、関係者にインタビューを試み、当日、翌日にニュースとして放映されました。 

 ①オープニングセレモニー

 オープニングセレモニーでは両国国歌の斉唱に引き続き、日本側を代表してJOPCAの池田会長より開会挨拶がありました。(池田会長写真) また、フィリピン側を代表してフィリピン港湾庁のサントス総裁代行(副総裁)より歓迎挨拶、さらにJICAフィリピン事務所の丹羽所長より来賓挨拶をいただきました。

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池田脱彦JOPCA会長開会挨拶

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 フィリピン港湾庁・サントス総裁代行(副総裁)開会ご挨拶

JOPCA企画委員の藤田氏より、JICA港湾部門の比研修生の同窓会が5年前にマニラで設立された経緯やその目的を説明しました。

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藤田郁夫JOPCA企画委員会委員より説明

フィリピン側同窓会会長のエスゲラ氏から自分の後任としてPPA総裁補佐のミオレ氏の紹介がなされました。

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エスゲラ前同窓会会長よりご挨拶

そして同窓会日本側新会長の池田JOPCA会長、フィリピン側新会長のPPA総裁補佐のミオレ氏より挨拶があり、今後とも密接な連携を図っていくことが宣言された後、参加者全員による記念写真を撮影しました。

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ミオレ新同窓会会長よりご挨拶

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フィリピンセミナー集合写真

②セッション1(120分)

港湾防災セミナー第1部は、港空研の鈴木チームリーダーより「台風による沿岸域の被災メカニズム」と題して、さらにPPAボホールPMOのエロープレ課長より、「2013.10.15ボホール島大地震の報告」と題し、地震の動画を交えた災害報告、その後横浜国立大学の宮本教授より「東日本大震災から得た教訓」と題して、東日本大震災時の災害状況と復旧活動の報告がなされました。

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鈴木高二朗講師

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 エロープレ講師

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宮本卓次郎講師

 そして3人の講師を壇上に招き、参加者との質疑応答、意見交換が活発に行われました。 “防災教育や港湾BCPの話は非常に興味深いのでより詳しく教えて欲しい”、“阪神大震災後に日本の防災対策が変わったことを学んだが、東日本大震災も踏まえた新たな防災対策について、また日本から学びたい”などの要望もありました。

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質疑応答の様子 

 ③セッション2(120分)

 港空研の菅野氏より「沿岸部の工業地帯における地震観測」、さらにフィリピン国家災害リスク軽減管理評議会のカニャーダ審議役による「災害リスク軽減に係わる予防措置とフィリピン港湾」の講演、そして最後に京都大学小野教授による「港湾におけるBCP」の講演がなされました。

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菅野高弘講師

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 カニャーダ講師

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小野憲司講師 

その後3人の講師を壇上に招き、質疑応答、意見交換が行われましたが、“津波が起こった際、市民を避難させるためにどうコントロールするのか”、“子供への防災教育はどのタイミングで行うのが適切か”、“千年に一度の規模の台風や地震を受けた際の経済対策についても学びたい”、等々熱心な質問や要望が相次ぎました。

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質疑応答の様子 

 ④クロージングセレモニー

 セミナー終了後、セミナー修了証書が比側参加者全員に個別に手交されました。池田JOPCA会長とPPAのカルロス副総裁の二人が修了証書のプレゼンターを務めました。

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修了証授与セレモニー

 佐藤JOPCA企画委員より閉会の挨拶がなされ、JICA研修員修了生との今後さらなる活発な交流を約束して、無事成功裏にセミナーを終えることができました。

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佐藤浩孝企画委員より閉会挨拶

⑤セミナー時のポスターセッション

 セミナー時には、同時に会場ロビーにてポスターセッションを開催いたしました。日本側は東日本大震災ならびにその後の復旧にかかる資料のポスター11枚を、フィリピン側も2013年に起こった10月15日の大地震による港湾災害や同年の台風ヨランダが港湾にもたらした大災害とその被害克服の様子を示すポスターを10枚、それぞれ展示しました。休憩時間を利用して、フィリピン側参加者だけでなく日本側参加者も興味深く展示場所を訪れ、意見交換を行った。セミナーのテーマとも深く関連した情報が提供され大きな効果が得られました。

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ポスターセッション

 各社のテレビクルーもそのポスターの画像を丁寧に取材していました。

3.バタンガス港視察

 セミナー開催翌日の2月4日、PPA提供のバスにて日本人セミナー参加者のうち22名がPPA先導のもと現地バタンガス港を訪れました。マニラ中心部から高速道路を利用して2時間ほどでバタンガス港に到着し、現況の説明をいただいたあと引き続きコンテナターミナル旅客ターミナルなどを見学しました。

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バタンガス港の説明

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 バタンガス港説明

港湾防災に関して活発な意見交換もありました。

バタンガス港は円借款によりコンテナバースが整備されておりますが、近年マニラ港の混雑を背景に、貨物量が増加しつつあります。マニラ港の施設が災害で被災した場合の代替施設としても大きな役割を果たすものとの認識が一同の中で深まりました。